Profile

白根 和明

医療法人社団白根会 白根歯科クリニック 院長
岩手医科大学歯学部卒業。新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔生命科学専攻口腔健康科 予防歯科学を修了し、歯学博士受領。
石川県小松市にある特定医療法人社団勝木会 やわたメディカルセンター 歯科口腔外科医長を5年間勤める。
2006年に白根歯科クリニックを開業。2019年に医療法人社団白根会の理事長に就任。北陸口臭予防医療センターのセンター長も併任。岩手医科大学歯学部非常勤講師も兼任している。
白根 和明

Doctors Word

継続は力なり

現在の仕事についた経緯は?

幼少時、近所にその当時としては珍しい予防歯科に力を入れた歯科医院があり、定期的に通っていました。
院長先生やスタッフの皆さんがとても優しくしてくださったこともあり、よく言われる「歯医者は怖いところ」というイメージは全くないまま成長することができました。
自分も将来は歯医者になって、病んで困っている人を助けたい、健康になるお手伝いがしたいと思うようになったのが小学生の時でした。そのため、小学6年生の時に書いた卒業アルバムには「将来の夢は歯医者になること」と記されています。

仕事へのこだわり

大学卒業後は、母校の口腔外科に入局しました。入局と同時に病棟にまわされ、口腔癌などの重症な患者さんを先輩の先生2人と自分の3人一組で担当しました。術前や手術中、術後の一連の内容を叩き込まれ、当時、大学一番の体育会系の医局に入ったことに最初は内心、後悔しました。
先輩から「お前はどうせまだ何もわからないんだから病室へ行って患者と世間話でもして来い」と言われ、口腔癌の末期であった患者さんのベット横でずっと話を聞いて過ごす日々が続きました。あの新人当時の自分には分からなかったのですが、今となって、「患者に寄り添うという事はどういうことか」「患者の訴えを聞く力」を身に着けさせるためのトレーニングだったのだと気づき、現在の自分の礎を築くことができた先輩に大変感謝しています。
大学を離れた後は、総合病院の口腔外科に勤務する傍ら、個人的に以前から興味があった「口臭」について研究したいと、社会人大学院として、日本初の口臭外来を開設した新潟大学予防歯科学の宮崎秀夫教授の下で学ばせていただきました。
勤務していた総合病院では北陸3県(富山、石川、福井)初の口臭専門外来を開設させていただき、口臭で悩んでいる患者さんを一手に引き受ける形となりました。口臭で悩んでいる患者さんは深刻で、どこの科に行けばよいか分からず、ただただ悩んでおられ、メンタル的にも病んでおられる方が多く見受けられます。
そのような状況に、自分の力で何とか救って差し上げたいという気持ちで開業の道を選び、悩みをしっかり時間を取って聞くことができるよう、口臭専門のセンターをクリニック併設という形で開設させていただきました。

そう思えるようになったきっかけ

口臭という病気は、なかなか人から指摘を受けることが困難です。そういった状況で、口臭専門外来を受診できる方はほんの一握りだと感じています。当院に来院された患者さんの話を聞くと、口臭を主訴に内科、耳鼻咽喉科など様々な診療科を受診したり、歯科を何件もまわったりしています。
口臭の厄介なところは、「目では見えない」病気である点です。これを、目で見える形で科学的に口臭を数値で解析し、この結果を踏まえ、医学的に治療を施せば、患者さんは口臭の悩みから解放されるのです。
大学院時代には、民間企業との共同研究で一般開業医でも導入可能な簡易型ガスクロマトグラフィーを開発しました。この測定器で検査することにより、口臭を成分別に数値として表すことができるようになり、患者さんに分かりやすい説明ができるようになりました。
口臭で悩んで来院された患者さんには口臭を改善させて、今後、口臭で悩まなくても良いように予防策をご提案し、口臭が主訴ではなく別の主訴で来院された患者さんには、その患者さんの周囲の人に口臭を感じ取られないように口臭予防を徹底していく、といった観点で毎日仕事をしています。

今後の目標

近年、口腔内と全身疾患との関係が次々と明らかになっています。歯科医師は、口の中を診て(もっと狭義には歯を見て)むし歯や歯周病をひたすら治療してきた時代から、口の中を診て全身疾患を疑う知見が求められていると思います。
歯周病が改善すると糖尿病の血糖値が改善することや、逆に糖尿病の血糖値が悪化すると歯周病も悪化するように、当たり前ですが口の中も体の一部であるという観点で常に向き合っていきたいと考えます。
今後も医科の様々な診療科の先生と連絡を密にしてチームの一員として連携しながら、一人でも多くの患者さんを救っていけたらと思っています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。