Profile
大堀理
東京医科大学 教授
岩手医科大学医学部を卒業し、北里大学に所属。その後アメリカのベイラー医科大学へ留学し、ニューヨーク市にあるスロン・ケタリング癌センターの前立腺診断センター副所長に任命され、4年間勤務する。帰国後は東京医科大学の教授になり、前立腺癌の臨床・研究に携わる。2014年からはロボットセンター長を兼任し、最も多くのロボット手術を手掛けている。
Doctors Word
このごろの厄妄想を入れ置きし鉄鉢袋今破るなり
小説家になりたかった高校時代
私の父が医師をしていましたが最初は全く興味がありませんでしたし、父や他の家族からも医師になるように言われたことはありませんでした。そのため、高校時代は読書やクラブ活動に時間を費やしていました。当時デビューしたばかりだった五木寛之氏に憧れて小説家になりたいと思い、文系に進みました。しかし、医師になった高校時代の先輩の話を聞くうちに、医師という職業の重要さを改めて感じて方向転換することを決めました。
「弱者は誰か?」を自分に問いかける
アメリカの病院で働き始めた頃、英語が分からず悩んでいた時期がありました。しかし、そんな私にアメリカ人の患者が悩み事を打ち明けてきたのです。その患者とのふれあいを通じて、自分が抱えている英語の悩みなんてちっぽけなんだと痛感しました。それからは、やはり英語は下手でしたがそれを駆使してなんとか患者たちと接することができました。帰国してからも、どんなに精神的に苦痛な状況になっても「弱者は誰なのか?」と自分に問いかけることで患者に向き合えるようになりました。手術に臨む前には毎回必ず、「もし手術中に予期せぬことが起こったとしても、自分に言い訳せず慌てずに全力を尽くすんだ」と言い聞かせています。今後は、ロボット手術を極めていきたいと考えています。また、私が今まで経験したことを若手の医師たちに伝えていきたいです。
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