Profile

林 明子

医療法人アルパ会 アルパカこども矯正歯科 院長
九州歯科大学を卒業後、広島大学病院歯科研修医、同大学院、同診療医を経験。博士号(歯学)及び日本矯正歯科学会認定医を取得。口育士の資格を保有。2015年7月にアルパカこども矯正歯科院長となり現在に至る。著書『子育てママ先生による口育の手引き』(南々社)を出版。
林 明子

Doctors Word

有言実行

現在の仕事についた経緯は?

7年ほど前から、「アルパカこども矯正歯科」の運営を始めました。当院では、世間ではまだあまり馴染みのない「口育」といった観点を導入し、実践しています。お子様のお口の健康を考えたとき、どのように行えば効果的か。0歳から、お口周りでも特に‘‘舌’’の運動に着目し、適切な対処をしていくことで、健全な歯並びの発育のみならず、本来そうあるべき「呼吸」や「嚥下(飲み込み)」を獲得します。人が育っていく過程にはさまざまな要因が絡まりあっているもの。生きていくために欠かすことのできない「呼吸」や「嚥下」を正常に整えておくことが、お子様の健康な歯並びに繋がり、お口から全身の健全な発育を促したいと考え日々実践しています。

仕事へのこだわり

お口周りの筋肉機能の改善のためには、口腔筋機能療法(MFT)といった方法があります。1950年代から主に米国で発展してきたMFTは、2013年には日本口腔筋機能療法学会が設立されるなど、研究が盛んな分野で、その効果の科学的な実証が進められています。当院や隣接する「アルパカの森保育園」でも取り入れている方法なのですが、幼少期から口育の一環としてこのMFTに取り組むことで、予防的に歯並びの良い子ども達が増えると考えています。 当院では、「キッズクラブ」と称し、お口の健康と健全な歯並びを目指して、三ヶ月に一度のフッ素塗布を含んだ定期健診を行っています。0歳から小学校を卒業するまでの間、カリエスフリー(虫歯ゼロ)を目標に、カリエスリスク検査を行うなど、親子でお口の健康向上に取り組めるプログラムを準備しています。何よりもまず、お子様ご自身が‘‘お口の健康’’に気を配るようになることが肝心。習い事を楽しく続けていく感覚で、お口の健康を総合的な観点から考え、口育を行っていきます。 2018年には、安倍秀弘代表のもと一般社団法人として日本口育協会が設立され、今後いっそう着目されていくと思われる「口育」。その口育を取り入れた子育てのお手伝いができればと思います。口育の取り組みを書いた著書『子育てママ先生による 口育の手引き』では、口育の柱である「呼吸」と「嚥下」、そして「虫歯予防」に配慮することで、一生ものの“虫歯のない健康な歯並び”を獲得するきっかけを提示しています。

そう思えるようになったきっかけ

2019年6月、「アルパカの森保育園」は開園しました。矯正歯科で行っている口育を、0歳から成長に合わせて実践できないか。歯並びの悪化を早期に予防することで、健康な歯並びの子を増やせないか。そんな思いのもと、歯科との一体的な保育の利点を生かし、一生ものの健康な歯並び、そして、お口の健康を提供すべく、口育を実践しています。 開園して3年程経ちましたが、口育の取り組みの成果が少しずつ現れてきています。 月に1度口育教室を行い、園児たちに口育を指導しています。また日々の保育の中でもバランスボールによる姿勢のトレーニングや、あいうべ体操等、園児の皆が楽しく取り組んでいます。また叢生(ガタガタ)予防のため、噛むトレーニングに取り入れている「チューイングブラシ」については、歯と歯の間に隙間ができています。半年に一回経過を確認するためにお口とお顔の写真を撮り、検証していますが、歯並びと顔貌の良い変化が認められています。 詳細は著書『子育てママ先生による 口育の手引き』で変化を確認していただければと思います。

今後の目標

お子様の良い歯並びやお口の健康のために、日々口育に取り組んでいますが、高齢者の訪問歯科診療にも取り組んでいます。口育や口腔ケアで、高齢者の口腔機能の低下を予防できますので、引き続き地域医療に貢献していきたいと考えています。 また今後は、大人の方のアンチエイジング、美容にも力を入れて取り組んでいきたいと考えています。デンタルエステとして「ハイフ」という美容機器を、広島で初めて導入しましたので、お口元のたるみやほうれい線にも効果がある、美容と口育の両輪で、患者様に喜んで頂きたいと思います。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。