Profile

川西 航太郎

動物病院ハートランド 院長
日本獣医生命科学大学卒業。卒業後茨城県内の動物病院で3年間一般診療に従事。その後、日本獣医生命科学大学動物医療センター研修医として3年間勤務。2011年、茨城県水戸市にて動物病院ハートランド開院。
川西 航太郎

Doctors Word

大局をみる

現在の仕事についた経緯は?

元々幼少時代から生き物を飼うのが好きで様々な動物を飼っていました。カブトムシや蚕のような昆虫から始まり、小鳥、鶏、ハムスターなど小さな動物を数多く育ててきました。ですが子供の頃は「獣医師になりたい!」という思いはなく、パイロットになりたいと思っていました。高校に入学して進路を考え始めた頃、「獣医師という職業もあるのだな」とふと思ったのが獣医師を目指したきっかけです。飼い主さんが喜びそうな獣医師を目指すきっかけとなったエピソードなどはなかったです。獣医学部に入学してからは部活(体育会剣道部)、スキー、釣り、バイクに没頭し、あまり真面目に勉強してきませんでしたが、その反動からか就職してからは仕事一筋で獣医師としてのキャリアを伸ばすための努力を続けてきました。僕が獣医師になった頃は「いつかは開業するもの」という風潮もあったため、地元に戻って自分の病院を開いたのは自然な流れだったと思います。

仕事へのこだわり

先述したように学生時代あまり勉強してこなかったため、獣医師として就職した時は小動物臨床のことはさっぱりわからず日々悪戦苦闘していました。いくら新人獣医師とはいえ、飼い主さんから見れば立派な獣医師に見えるわけでその期待に応えなければなりません。またありがたいことに新卒1年目から僕に診察してほしいと指名していただけることも多く、早く獣医師としての能力を高めなければと考えていました。3年ほど一般臨床を学んだのち、より高度な獣医療を求めて母校の動物病院の研修医となりました。研修生活はとても刺激的で「獣医師ってこんなことまでできるのか」と勉強になる毎日でした。ここでの3年間の研修生活がその後の獣医師人生を大きく変えたと思っています。6年間の修行時代を経て地元で開業したわけですが当初は地元密着のホームドクターを目指していました。ところが開業とは全て自分で診察・検査・治療を行わなければならない。今までは院長や先輩獣医師、大学なら教授など、いくらでも頼れる人がいたわけですが開業獣医師は自分でなんとかしなければならないのです。治療において最も能力が必要とされるのが外科手術です。外科はごまかしが効きません。一回の治療で良くなることもあれば手術により悪化させてしまうこともあります。その外科の能力を伸ばすことが獣医師としての能力を高める最たるものと診療を通じて考えました。また外科手術は機材や人手を必要とすることが多く、難しい手術は都内の大病院へ紹介する必要がありました。それは飼い主さんにとっては大きな負担となります。外科の能力を高めることができれば地元で悩む飼い主さんにとっても良いことだと考え、今も外科手術に対する鍛錬を怠らないようにしています。

そう思えるようになったきっかけ

開業当初は地域密着のホームドクターを目指していました。「自分のできる範囲、好きな分野だけをやっていこう」と。ところが開業してしばらくすると自分には手に負えない病気を抱えた動物がやってきます。当時は「自分のところでは手に負えないので都内の大きな病院や専門病院に行くしかない」と飼い主さんに勧めていました。しかし都内の大学病院などは予約制ですぐ診てくれないし何よりも遠い。車で2時間以上かかります。そうなると飼い主さんも「じゃあ諦めます」とがっかりされるわけです。その代表的な病気が白内障、緑内障、門脈シャント、肝臓腫瘍、靭帯断裂、頚部椎間板ヘルニアなどです。これらの病気は大学研修時代に数多く診てきたとはいえ自分で治療するのは難しい、でもなんとか地元で治療できないかと考えました。それからは再度大学で研修生として月一回ほど勉強に行ったりウェットラボで実習をしたりして自分のできる治療の幅を広げてきました。その結果、今では開心術などの特殊な治療を除いてある程度自分で治療できるようになったかと思います。飼い主さんの要望に応えようと努力を続けた結果が今につながっていると思います。

今後の目標

地元でできることはなるべく地元で、飼い主さんやペットに負担をかけないように、を現在のモットーとしています。そのためには更なる診療体制の強化、自身の能力向上が必要と考えています。短期的にはMRI導入、さらに先には学位取得など、貪欲に獣医学・獣医療の向上を目指していきたいと思っています。自分の獣医師としての能力を限界まで高めることが飼い主さんとペットにとって最も良いことだと考えています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。