Profile

北原 望

あかりこどもクリニック 院長
自由学園高等科卒業。最高学部1年修了時に医学部進学を目指して退学。 杏林大学医学部卒業。 栃木県済生会宇都宮病院初期臨床研修過程終了。 慶応義塾大学医学部小児科学教室入局。慶応義塾大学病院後期臨床研修過程終了。 栃木医療センターを経て、2017年にあかりこどもクリニックを開業。
北原 望

Doctors Word

It is not how much we do, but how much love we put in the doing.

現在の仕事についた経緯は?

自由学園最高学部時代にネパールでの植林ワークキャンプに参加し、引率の医師が小さな診療所を開き子どもたちを診察している風景を見て「これだ!」と思ったことがきっかけで医学部進学を決意しました。医学部進学後は進路云々よりも部活のラグビーに没頭し、主将も務めました。 卒業後、初期研修ローテーションで小児科を回った時に、ネパールでの風景が重なり小児科を選択しました。その後、結婚を経て子育ても始まり、子育てと忙しい病院勤務の狭間でギリギリの生活を強いられました。そんな中で家庭への理解に乏しい上司と衝突し、医師として勤務が続けられない状況へ追い込まれました。同業の妻が信じ、支えてくれたことがきっかけで、何が大切なことかを見直すきっかけとなりました。まずは家庭での生活があること。そして、家庭生活充実の上に心から目の前の患者に向き合える医療が成り立つことを確信しました。家庭での充実の上に心のこもったケアが行われるサイクルが回る、ライフワークバランスを実現するため、あかりこどもクリニックを開業いたしました。

仕事へのこだわり

小児科クリニック受診の子供たちの9割は医療介入の必要のない元気なお子さんです。まずは、その1割の治療介入の必要な子どもたちを治療に向けていくことが小児科医として大切なことです。そのためには日々進歩する医療をアップデートしていくことも大切です。 また、医療介入の必要のない9割の子供たちを連れてくる親は不安を抱えながら来院するため、その不安に寄り添い子育てを支えていくことも小児科医として大切な仕事と考えています。また、不安に寄り添うために必要なことは親の目線に小児科医が立つことが大切だと考えており、小児科医も1人の親として子育てに携わり親心を育てていくことが欠かせないと思います。 クリニックでは、子どもの行事参加や子育てや家庭での用事を最優先してもらい、スタッフ間では、家庭生活の充実が心に寄り添ったケアにつながっていくことを常に共有するようにしています。クリニックはアレルギーも専門としていますが、この分野においてはそれぞれの生活に準じたオーダーメード治療が必要とされるケースが多いです。いかに親の不安に寄り添い問題点がどのようなものかを明確にしていくことが治療につながっていきます。ここでも心に寄り添った医療が求められているのです。問題点を洗い出していくことの出発点は傾聴していくことで、傾聴に必要なものは相手の気持ちを理解する想像力です。想像力は家庭での生活から育まれていきます。心に寄り添った医療は目の前の1人の患者を大切にしていく医療。1人の患者を大切にすれば、満足した患者がクチコミを広めます。即効性はなくても確実でクリニックのクオリティを保ちながら成長を続けていくことができます。 どれだけ多くの患者を見れたかに価値を置くのではなく、目の前の1人の患者に心を込めて向き合い寄り添えたかに価値を置くこと。そして、その患者の喜びをスタッフ間で共有することが出来ればと考えています。

そう思えるようになったきっかけ

医師になりたての頃は医療は診断をして治療を行うことが最も大切なことと考えていました。しかし、家庭を持ちながら勤務をするようになり、仕事の現場の裏側にはそれぞれの生活があることを痛感するようになりました。子どものことで不安を抱えながら連れてくる母親もその背景により抱えている悩みは様々で、求められる医療も患者様によって変わってきます。何が問題点なのかを捉えるところから治療は始まるのです。そう考えると、寄り添った医療を行なっていくためには、医療者自身の生活があることが大切であると考えるようになりました。また、子育てが始まった頃に自身のキャリアと子育てとのバランスで悩んでいた時期に、励まされる言葉に出会いました。“子育ては子育てを行う人に親心が育ち成長することで幸せになっていく機会である”という考え方です。親心が育った人はより深い人生を送り、親心のある人が集まった社会は良い社会になることに気づきました。小児科医であり現役子育て中の立場から子育てを応援していくことが自身のライフワークであると考えています。

今後の目標

子育ては親心を育て親心は社会をよくしていきます。そのため、社会にとって最も大切な子育ての現場で奮闘している、父親・母親を支えていけるような活動をこれからも続けていきたいと考えています。また、生活の充実の上に心に寄り添った医療があるというコンセプトをもとに、クリニックで実現可能なサイクルを回していきたいと思います。そして、スタッフや自分自身が充実し幸せを感じられる日々を続けていくことができればと考えています。このサイクルを一つのモデルとしてさらに発信していくことも将来的には行っていきたいと思ってます。

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