Profile

中村 明文

あかりクリニック 院長
琉球大学医学部医学科を卒業後、同大学附属病院で初期研修を行い、精神のみならず身体疾患も合併した患者さんの対応も行えるように臨床精神医学全般の専門的な研修を続ける傍ら、同大学大学院を修了し、教員として後輩の指導にあたる。地域の精神科医療機関との連携を果たすべく、琉球大学精神科医局長を務めた後に、診療准教授を拝命。2016年8月、あかりクリニックを開院し、院長として診療を続けている。
中村 明文

Doctors Word

巧言令色すくなし仁

現在の仕事についた経緯は?

医師とは無縁のサラリーマン家庭で育ち、父からは医学部進学よりも別の道を勧められていました。今から思えば、小学校の担任教師が「将来は医師などになるのでしょうね。」などと繰り返し言ってくださったことを思い出します。中学高校の同級生A君からは「医師になった方が間違いないよ。」と念を押され、医師免許を取得できる一番楽しそうな大学として、琉球大学を選択しました。
沖縄の生活はとても刺激的で、ダイビングやウインドサーフィン、ビーチでの昼寝など大学へたどり着くことが出来ない日々が続きました。医師免許取得後は他業種で働くことを考えていたのですが、通常6年で済む学生生活が8年間と長引き、成績は底辺でした。ダイビングショップのオーナーから「大学を辞めて、店を盛り立てて欲しい。」と言われたことをきっかけに目が覚めました。
医学の勉強をすればするほど、単なる医師免許取得者と真の医師とはかなりの隔たりがあり、実際の臨床経験を積まなければ医師とは成れないことが身に染みてわかりました。また、良い臨床医とは十分な医学知識と経験を背景に患者さんの将来を見据えた対応ができる医師であると実感しています。

仕事へのこだわり

元々、興味があることへのこだわりは強く、のめりこみやすいタイプです。自分自身の発達障害特性を背景に一人一人の患者さん毎に掘り下げて、考察し、文献などにもあたって、どのような対応や治療が良いのか考えてきました。
大学病院はそのような時間をいただくことができる病院であり、なるべく長い時間、研修を続けたいと考えていたところ、開業までの18年間のうち、多くの期間を大学病院で過ごさせていただきました。
関わらせていただいた患者さんは児童思春期から老年期までと幅広い年齢層の方々でした。市中病院での対応が難しく、入院を要する方もいました。妊娠をされている方や重い身体疾患を合併されている方もおり、診療のガイドラインを踏まえつつ、個々の患者さんに応じた医療の提供を要していました。また、最新の医療を提供すべく、知識のアップデートに努めました。
開業してからのことではありますが、かねてから注目していた反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)が2019年に保険収載され、うつ病治療がどのように変わるのか、関心が高まりました。保険診療における制限から診療所への導入は保険診療では不可能であること、治療対象者の条件付けが厳しく、柔軟な対応が難しいことがわかりました。また、大都市圏では自由診療によるrTMSが増えていることなども踏まえ、研修会へ参加し、実技指導なども受け、保険診療レベルの知識と技術を身につけた上で、rTMSの自由診療へ準備を進めました。そして、2022年5月から間欠的シータバースト刺激法を用いた気分障害に対するrTMS開始させていただいております。東京での最低価格帯に近い費用で施行していることもあり、大阪や福岡の患者さんからの問い合わせや実際に遠隔地から沖縄に滞在されて、当院での治療を受けられる方も出てきました。
発達障害診療に関して、海外に在住される日本人への医療提供機会は少ないようです。コロナ以前においては格安航空会社の国際線を利用して、東南アジアから当院へ通院される方もいらっしゃいました。今後、こうした方々への期待にも応えられるように準備をしたいと心がけております。
加えて、医療の進歩への貢献や先進の医療を提供するために治験についても力を入れております。

そう思えるようになったきっかけ

ダイビングショップのオーナーから「大学を辞めて、店を盛り立てて欲しい。」と言われたことが「傍から見てそこまで来てしまっていたのか。」と、学業の道へ振り返るきっかけになりました。
大学卒業後は精神科医局や病棟の皆様、患者様達が暖かく、私の医師としての成長を見守ってくださったことが今の私を形成していると思っております。

今後の目標

通常の精神科、心療内科診療を行い、地域医療に多少なりとも貢献したいと考えております。
医療の地域格差が幾分でも減らせるようにrTMSによる気分障害治療を開始しています。この治療を適切に地域の人々へ提供できるように努めてまいります。
また、いくつかの治験を行っており、医学への貢献という側面が大きいですが、新しい治療へ接する機会が増えるようにしたいと考えております。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。