Profile

尾島 洋介

医療法人社団清幸会 よつや駅前クリニック 内科と皮膚科・形成外科 理事長
東京医科歯科大学医学部卒業。在学中Harvard Medical School(ハーバード大学医学大学院)に留学。
卒業後東京医科大学病院形成外科に入局し、大学病院や市中病院で勤務する。
2019年 シンガポールで行われたThe 12th Asia Pacific Burn CongressでBest Abstract Awardを受賞。
2021年にThe 13th Asia Pacific Burn Congressで副事務局長を務める。
2022年2月に医療法人社団清幸会の理事長となり、現在に至る。
尾島 洋介

Doctors Word

不撓不屈

現在の仕事についた経緯は?

高校生の頃、特にやりたいこともなく何となく過ごしていたのですが、高3の時に転機が訪れました。
体育祭の練習でバク転をしていた際に、自分の右頬をぶつけてしまい右頬骨骨折を受傷してしまいました。今まで病気という病気や怪我という怪我をしたことがなかったのに、突然手術が必要と言われ、頭が真っ白になったことを覚えています。
人生初めての入院と手術だったので、不安で押しつぶされそうになりましたが、病院の先生(形成外科医)や看護師さんに優しく接していただき、何とか乗り越えることができました。
これをきっかけに自分も人の不安を和らげられるような、そんな医療職に就きたいと思い、医師を志しました。気がつけば自身も形成外科医になっていました。

仕事へのこだわり

『患者さんには優しく、自分には厳しく』診療することがこだわりです。
「性格は悪いけど腕がいい医者と、優しいけど腕はいまいちな医者、どちらが良い?」といった話を聞くことがありますが、そんなの性格も良くて腕が良い医者が良いに決まっています。医学の世界はとてつもないスピードで進歩していますので、少しでも胡座をかけばたちまち置いていかれてしまいます。一方で、最先端の知識や技術を会得してもそれを患者さんに分かりやすく伝えられないと意味がない。これらは決して二律背反ではないと思います。
患者さんに優しく、ということは常に患者さんのために何が良い選択かを考えること、と思っています。目の前にいる患者さんは、訴えている症状の他にも様々なバックグラウンドを持っているものです。それぞれの背景によってベストな選択というのは変わるでしょう。本当にその患者さんにとってベストな治療を選択するには、その患者さんを良く知らないといけません。如何に患者さんと良好なコミュニケーションをとることができるかが、提供する治療のクオリティーに直結すると考えて診療に取り組んでいます。
自分に厳しく、ということは外科医にとっては絶対に必要なことでしょう。形成外科の手術は見える部分の手術が多いため、結果が誰の目に見ても明らかになります。形成外科医にならきれいに手術してもらえる、きれいに縫ってもらえる、と思って受診される患者さんが多いですから、我々はその期待に応えるべく最後の縫合の一針までこだわる必要があると考えます。例えどんなに疲れていたとしても、出来が気に入らなければ一度縫った部分を抜糸してでもきれいに仕上げる、といったこだわりが必要ですし、その積み重ねが自身のスキル向上にもつながっていると感じています。

そう思えるようになったきっかけ

『患者さんに優しく』これは私が医師になるきっかけとなった形成外科医の姿勢です。
医師からすれば手術というのは日常業務ですが、それを受ける患者さんからすると本当に大きな出来事です。私自身も手術を受けた際はとても怖く、不安に感じていました。手術の話の際に「このような合併症が起こる可能性についてはお話ししないといけないけど、仮にこのような合併症が起こってしまっても最後まで責任をもって治療します」と説明された時にはとても安心したことを覚えています。
『自分に厳しく』は留学時に強く意識するようになりました。大学6年生の時にHarvard Medical School(ハーバード大学医学大学院)に留学しました。そこでチームの一員として治療に携わったのですが、そのチームの先輩医師は皆とても勉強熱心でした。カンファレンスで話題にあがったことについて、業務終了後に10編以上の論文を読んでまとめ、翌日にはチームカンファレンスで皆に還元する、といったことが普通に行われていました。忙しい業務の合間すら自己研鑽にあてる医師たちにどこにそんな時間があるのか聞いたところ、「僕らは患者のために常にハードワークをする必要があるし、その積み重ねが良い結果に結びつく。時間は作ればいくらでもあるからね。」と言われました。ハーバードの優秀な医師たちが常に進化を続けるのであれば、自分もそれを超えるハードワークをしないといつまでも追いつけないと感じ、自分で限界を決めずに勉強をするということを決めました。

今後の目標

この国の医療を俯瞰してみますと、我々が当たり前のように提供している、または享受している医療は持続可能なのか、ということについて考えさせられます。コロナ禍における医療崩壊のニュースもこのことについて考えさせられるきっかけとなっています。大学病院を出て地域に入ったからこそ、そのような視点は大切だと思っています。
良質な資源の持続可能な提供を目標に、現在早稲田大学大学院で経営学を学んでいます(ハーバードに留学した際に、大学関連病院の経営母体が大学ではなく民間企業だったことから経営学に興味を持ったということもあります)。目の前の患者さんはもちろんですが、未来の患者さんにも良質な医療を提供できるよう、今現在医療に携わっている者として、できることを模索したいと思います。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。