Profile

清野伸隆

ちゅら動物病院 院長
2008年大学卒業後、栃木県宇都宮市のアンドレ動物病院で4年間勤務医を務め、犬、猫のみならずエキゾチックアニマルの診療に携わる。2012年からは愛知県豊橋市のハート動物クリニックで勤務し、CT検査などより高度な診療を行った。2021年出身地である北海道に戻り、ちゅら動物病院の院長に就任。現在に至る。エキゾチックペット研究会(現日本獣医エキゾチック動物学会)にて発表多数。雑誌エキゾチック診療にて誌面発表も行った。
清野伸隆

Doctors Word

気心腹人己

現在の仕事についた経緯は?

中学三年生の進路相談のときに、「獣医になりたい」と話したことを覚えています。明確には覚えていませんが、父の仕事の関係で動物が好きだけど飼うことができなかったことが理由なのかもしれません。高校を卒業し2年間浪人の後、念願だった獣医師への第一歩として北海道帯広畜産大学獣医学科に入学しました。そして、大学在籍中にはもう一つの夢である伴侶動物との生活をスタートすることができました。飼い始めた伴侶動物は、一般的に多い犬や猫ではなく、たまたまペットショップで出会った「フェレット」という動物でした。飼い始めるにあたり当時は情報も少なく書籍などで勉強して、何度もペットショップに通い、熟考した後飼うことに決めました。フェレットは魅力が多い動物で、そのうえ多頭飼育もしやすいためどんどん増え、学生時代には4匹飼っていました。そういった経験から、伴侶動物として犬、猫以外の動物にも興味が広がり、それらの動物を診ることができる獣医師になりたいと強く思うようになりました。大学卒業後は、大学の研究室のOBであり、私のフェレットを診てくださっていた「あかしや動物病院」の大橋英二院長の紹介でフェレットの診療で有名な栃木県の「アンドレ動物病院」に就職しました。アンドレ動物病院で4年勤務した後は、戸﨑和成院長の紹介で愛知県豊橋市にある「ハート動物クリニック」にて勤務、内藤晴道院長の下で経験を積みました。同院を9年勤務した後、地元である北海道にて勤務することを決めました。その後、ちゅら動物病院院長として就任、現在に至ります。

仕事へのこだわり

これからの人間社会において伴侶動物との生活は飼い主の幸福に直接寄与することであり、その伴侶動物の健康を守るのが小動物臨床医の仕事であると考えています。近年では家族として様々な動物種が人間と暮らすような社会になり、犬、猫以外にもフェレット、うさぎ、ハムスター、セキセイインコ、オカメインコなど伴侶動物として人と一緒に生活している人がいます。最近では、ハリネズミやフクロモモンガ、ミーアキャット、サル、マイクロブタ、猛禽類など伴侶動物として選ばれる動物種はさらなる広がりを見せています。一方、それらの動物種の医療はまだまだ未知の部分が多く飼い主様の要望に高い水準で応えるには至っていません。私は、エキゾチックアニマルの飼い主様の幸福を犬や猫の飼い主様の幸福と同じくらい高い水準にできるようにしたいと思っています。それと同時に、犬や猫の診療にも手を抜くつもりはなく、一次診療として高水準な診療を常に目指しています。今後も犬、猫、エキゾチックアニマルすべての飼い主様の要望に応え、多くの動物種に対応できるよう研鑽を重ねていきたいと考えています。一方で、飼い主様と伴侶動物の幸せと同じくらい一緒に働く病院スタッフの幸せも優先しており、職場環境の整備やレクレーションなどにも力を入れています。今年はコロナ禍で難しかったのですが、春にはお花見や夏、秋にはドライブ、BBQ、冬には忘年会などスタッフの交流も欠かさないようにしています。命を扱う職場であるため緊迫した事態に直面しやすく、獣医師や愛玩動物看護師、その他病院のスタッフの身体的精神的負担は大きいものです。その負担を少しでも軽くしてあげられるよう、スタッフ間の交流や1on1のミーティングなど職場の環境整備は最重要課題であり、良好な状態の維持発展に努めています。

そう思えるようになったきっかけ

最初に勤めたアンドレ動物病院では、犬猫のみならずエキゾチックアニマルを含めた動物医療について多くのことを学びました。特にエキゾチックアニマルの医療については犬や猫と全く違う大きさの動物を扱うため、内科、外科など様々な事柄で繊細な作業が要求されます。また、動物種によって当然その生態、飼育環境、使用できる薬など異なります。アンドレ動物病院で、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を基本からしっかり学ぶことができたことは非常に大きな財産です。その後に勤めたハート動物クリニックでは、同じように犬猫以外にもエキゾチックアニマルの診療を引き続き行いました。ハート動物クリニックでは、CTが導入されており、もちろんエキゾチックアニマルの撮影も行っていました。エキゾチックアニマルのCT検査について基準となる情報は少ないものの、CT検査で得られる情報は診療に非常に有用でした。また、ハート動物クリニックでは先輩獣医師の指導の下、様々な外科手術を行うことができ、飛躍的に技術が向上したと思います。この2院で大きな財産を得ることができたため、犬、猫、エキゾチックアニマルという伴侶動物の健康を守ることで、人間社会の幸福に寄与できる下地ができたと思います。

今後の目標

おこがましい言い方ですが、ちゅら動物病院が北海道の獣医療を発展させ、支え、飼い主様と伴侶動物の幸せに繋げられる一翼になれればと思っています。そのために、ちゅら動物病院スタッフ全員は日々勉強していかなくてはならない。それを実現できる環境作りをスタッフ全員で作っていく。これが大切だと考えています。一方、昨今問題となっている獣医療従事者の労働環境にしっかりと目を向け、地域の獣医療を支える獣医師、愛玩動物看護師、その他の病院スタッフの身体的精神的負担の軽減を行い、継続して働き続けられる労働環境を整えていくことが、最重要課題であると考え、邁進していこうと思っています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。