Profile

下内 昭人

しべつ眼科 院長
旭川医科大学医学部卒。卒業後は地域基幹病院で勤務。2016年に医学博士と日本眼科学会認定専門医資格を取得。同年、日本眼科学会学術展示優秀賞を受賞。 2017年から旭川医科大学眼科学講座の診療助教として、糖尿病網膜症と網膜静脈閉塞症の専門外来を担当し、難症例の白内障手術や網膜剥離などに対する硝子体手術を執刀。出張医としては士別市立病院や名寄市立病院などの関連病院で地域医療に携わる。2019年国際眼炎症ワークショップ(GOIW)で眼科医向け教育セミナー指名講演。2020年、旭川医科大学眼科同門会長賞受賞。2022年6月に「しべつ眼科」を開院し、現在に至る。
下内 昭人

Doctors Word

習慣が人格を変え、人格が運命を変える

現在の仕事についた経緯は?

私はごく普通の公務員の家庭に生まれました。元々、人の役に立つ仕事がしたいという思いがあり、病気がちな母の看病をする中で、漠然と医師という職業を意識するようになったのは高校生の時です。
医学部に入り、最初は小児科志望でした。理由があって小児科は諦めましたが、大好きな子供に関わりたいという気持ちも捨てきれない中で、「“視覚”は外界から得られる情報の80%を占め、生涯を通してより質の高い生活を送る上で、欠かすことのできないものである」ということを知り、私は、眼科という分野で子供にも関わりたい、そして一人でも多くの方の見える喜びを叶える手助けをしたい、という強い思いから、眼科医になりました。

仕事へのこだわり

研修医の時から「鉄は熱いうちに打て」ということを意識し、機会を逃さず、可能な限り早く多くの経験を積めるように精進しました。その後、様々な視点から眼科に関わりたいという気持ちと、世界に通じる仕事をしてみたいという思いから、大学院へ進学し、マウスや多能性幹細胞を用いた神経保護と再生医療の研究をしました。博士号を取る過程によって、基礎研究の視点からも病気を見ることができるようになり、深い診療ができるようになったと実感しています。
また、私は「病気を診るのではなく、患者さんを診る」ということを常に意識しています。そして「病気に立ち向かう患者さんの一番のサポーターでありたい」とも考えています。あくまでも患者さんが主役です。
例えば、ある病気に対して最も効果的な治療法Aがあったとしても、その患者さんにとっては、経済状況や生活環境などから治療法Bのほうが適しているかもしれません。あるいは治療しないという選択肢もあると思います。最高の治療法が必ずしも最適な治療法ではないのです。
私は、病気に関する最新の正しい情報を分かりやすく説明し、色んな選択肢の中から何が良いのか、患者さんと一緒に悩みます。そして、患者さんごとに合わせた、患者さん主体の、オーダーメイド医療を心がけています。
こうした思いとともに、可能な限り地域で完結する医療を提供したいという考えから、大学病院と同じ手術機械を導入し、旭川以北で初めて(2022年10月現在)日帰り硝子体手術ができる眼科クリニックを士別市に開院しました。そして、当院の理念である『治療を地域で完結させる患者さん第一のホームドクター』ができたのです。

そう思えるようになったきっかけ

旭川医科大学に診療助教として戻ってからは、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性、網膜剥離といった網膜硝子体疾患を担当し、難症例の白内障も含めて、全道各地からご紹介いただく患者さんの診療にあたってきました。そうした中、医療過疎という地域医療の問題を目の当たりにしました。
硝子体手術というのは、何年もかけて多くの経験を積んでようやく一人前として習得できる手術であり、一部の眼科医のみが行える手術です。そのため、旭川以北で硝子体手術を行っているクリニックは一つもありませんでした。特に士別市は常勤医がいないため、老化によって必ず発症する白内障の治療のためですら、多くの患者さんが旭川や名寄へ通わなければならない状況でした。
そこで私は、一人でも多くの方の見える喜びを叶える手助けをしたい、という眼科医になった時の思いから、士別という地で地域医療に貢献したい、という気持ちを強く持つようになりました。

今後の目標

当院の理念のもと、自分が受けたい医療を提供し、家族に勧められるクリニックをスタッフとともに創り上げていきたいです。また、これからは「早期発見・早期治療」と「予防医療」が重要です。知らないうちに発症し、無症状で失明寸前まで進行してしまう病気があります。
例えば、緑内障という病気は70歳以上の10人に1人が発症し、日本での失明原因第一位の病気です。また、予備軍も含めると推定2000万人いる糖尿病患者のうち、5人に1人は目に合併症が出ます。
そのため、見え方で困っていない無症状の方、健康だと思っている方にこそ、定期的に眼科で検査を受けるべきであるということを啓蒙していきたいと思っています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。