Profile

髙杉 望

KEIセルクリニック 院長
秋田大学医学部医学科卒業。慶應義塾大学病院にて内科研修後、2022年よりKEIセルクリニック院長となる。
髙杉 望

Doctors Word

Live as if you were to die tomorrow; learn as if you were to live forever.

現在の仕事についた経緯は?

国境なき医師団に憧れて医師になったのですが、大学入学直後に膠原病を発症。それならば、と大学病院でリウマチ・膠原病内科医として研修していたところ、激務のせいか病気が悪化してしまいました。やむを得ず他の仕事を探していた折に、こちらの職場を紹介されたのが、この職場との出会いです。
幹細胞培養上清液を用いた安価で簡便な再生医療を、美容ではなく予防や治療の手段として、すべての人に届けるという理念に魅力を感じました。最初は非常勤として勤務していましたが、経営グループの社長に声をかけていただき、入職半年後の2022年11月より院長を務めています。医療者としても組織の長としてもまだまだ未熟なので、社長との二人三脚で仕事をしています。

仕事へのこだわり

内科学の祖と言われるウィリアム・オスラーの言葉を借りれば、「サイエンスに基礎を置いたアート」としての診療を心がけています。幹細胞培養上清液治療(以下、幹細胞上清液治療)の歴史は浅く、エビデンスは皆無といってよい状態です。だからこそ、患者さんに安全性と有効性に関して最新の情報を届け、わからないことに関してはわからないと率直にお伝えする。そのうえで、我々が個々の患者さんに提供できる最良の医療はなにかを考えて施療しています。
また、理念にもあるとおり「自分らしく生きる」ことを大切にしています。幹細胞上清液治療には老化を遅らせる効果が期待されていますが、それでも永遠に生きられるわけではありません。患者さんがどんな人生を送り、どんなふうに歳を重ねたいと考えておられるのかを大切にし、それを治療に反映させるよう努めています。
最後に「医は商売ではなく使命である」ことを心に刻んでいます。自由診療であり、また幹細胞上清液は美容目的で用いられることもあるため、この技術でお金を儲けることもできるでしょう。しかしそれは、私や社長のやりたいことではありません。あくまでも、この技術を通して社会に貢献していきたい、最終的に幹細胞上清液治療を保険診療にできればそれが最善であるという社長の考えに、私も深く共感しています。

そう思えるようになったきっかけ

18歳からの苛烈な闘病体験と、そのとき医師や医療チームがわたしにしてくれたことが、わたしの医師としての在りかたを決定づけています。医師になってからは同じ医療チームで研修し、患者さんを敬い尊重すること、奉仕し貢献すること、学問と実践を繰り返すこと、情報を厳しく吟味することなどを学びました。
医局を離れたいまも、最高の医学をもって最良の医療を提供するにはどうしたらよいか、どうあるべきかを常に考えています。また、医師が患者さんの人生に及ぼすインパクトの大きさを身をもって知っているので、信頼関係をとても大切にしています。自由診療にはあまり関心がなかったのですが、社長の誠実な人柄と利他的なビジョンに魅入られ、医師としての「仕事へのこだわり」をここで発揮したいと思うようになりました。

今後の目標

「すべての人が幹細胞上清液治療の恩恵を受けられる」ことを目標にしています。現在幹細胞上清液治療を受けられずにいる人とは、どんな人でしょうか。まず、幹細胞上清液治療そのものを知らない人がいるでしょう。医療側と患者側の双方に、幹細胞上清液治療に関する正しい情報を届け、治療選択肢として普及させていきます。
治療を受けられる施設が近くにないという人もいるでしょう。グループとして全国に医院を展開するとともに、理念に賛同してくださる医療機関に幹細胞上清液を提供し、どこででも幹細胞上清液治療が受けられる体制を整えていきます。高価であるために手が届かないという人もいるでしょう。保険診療になればよいのですが、いますぐにというわけにはいきません。現在は相場の1割程度の価格で提供していますが、今後も製造段階の効率化などにより、さらに安価に提供することが可能になると考えています。
ただこれらのことは、幹細胞培養上清液が本当に効果的で本当に安全であれば、のお話です。気休め程度でリスクも高いとなれば、医療として患者さんに提供する意味がありません。現在私自身は研究に携わっていませんが、幹細胞培養上清液の研究が進み、効果性や安全性が明らかになっていくことを願っています。そのために、今後もリサーチマインドを持って日々の診療に臨み、気づきやデータを集めていきたいと思っています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。